(監督のことば)同性愛を嫌悪する社会では、10代のレズビアンたちは幼いということや、多感な年頃だからという理由で、ある時期の恥ずかしい同性愛的経験にしか思われず、レズビアンであるということを認めてもらえない。未熟だという偏見と非難、嫌悪の対象になる10代のレズビアンの話は、これから彼女たち自らが主体となって話さなければならない。また、レズビアンがドキュメンタリーに登場すること、それ自体が社会的なカミングアウトであり、レベルと内容は主人公が自分たちで決めるようにできなければならない。
『out』は監督と主人公、撮る人と撮られる人の境界を壊して作り出した関係が結晶した作品であり、30代のレズビアンである監督の演出と、主人公である10代のレズビアンたちのセルフ演出とが、織り混ざり作り上げられたものだ。特にセルフカメラ形式は10代のレズビアンたちが異性愛優越主義と同性愛嫌悪とで傷だらけになった内面を自ら語り、癒す方法として考え出され、彼女たちはこの経験を通して、傷と痛みの原因を発見し、自分たちがレズビアンであることを肯定するようになった。
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